マンガ市場とソーシャルゲーム市場を比較し、電子書籍で漫画を売ると言うことの考察と、その課題解決方法を真剣に考える!

国内の漫画ビジネスに関して、考えていることをまとめたいと思います。
漫画ビジネス自体はなかなか難易度が高いですが、他のビジネスとの比較をすると、実はまだまだ開拓の余地があり、伸びる市場ではないか?(でなければフーモア自体はそこを狙いに行っていない)と考えることができます。
今回はその考察を数字を元に示しつつ、その課題解決方法もセットで考えたいと思います。

漫画は実はデジタルの領域ではまだそんなにスイッチングは起こっていない?

電子書籍市場の伸びは漫画が牽引しているというのはもう一般的なことかと思います。

漫画自体の国内市場規模が5000億弱で長らく横ばいで、漫画の電子書籍市場は1000億円を超えたところなので、20~25%が電子書籍(ほぼ携帯・スマホ)に移行したと考えて良いと思います。

この漫画の電子書籍の普及率20~25%は進んでいる方なのかどうなのか?他業種と比較すると分かりやすいので、同じエンタメ系のゲームで比較します。国内スマホゲーム市場は2014年度は8950億円規模となり

2015年の国内家庭用ゲーム市場、8年連続前年割れ。ソフト市場は2000億円を下回り3210億

ということで73%近くが携帯・スマホです。ゲーム自体はコンシューマと携帯・スマホ市場を合計すると市場伸びているので(うらやましい!)、一人あたりの単価が上がったか、今までにやっていなかった層がゲームをやり始めている(恐らく後者)という分析が出来ます。

漫画とゲームの既存市場とスマホ市場(漫画は電子書籍市場)で読み解く現状分析。

携帯・スマホで漫画を読んでいる人は20~25%くらい、それがゲームだと70%くらいシフトしているということが上記数字から分かりました。
漫画は単純に携帯・スマホシフトが仕切れていないと言えばそれまでですが、どうしてそれができていないのか?
もしそれができると、ゲームの市場と同様に、コンシューマとスマホ市場を足し合わせると、結果的に市場規模が大きくなるということが考えられます。(これやりたい!)

上記でも少し触れましたが、スマホゲームはゲームをそこまでやっていなかった層を取り込めたところが市場を大きく牽引できたところにあり、それがややコンシューマ市場を食い始めている感はあります。
つまり漫画でもゲーム同様に市場を形成するには、以下の2点頑張るということです。
・今買っている人達にどう買って頂くかという点
・今は読んでいない人に読んで頂くという点

スマホゲームの爆発的市場の牽引が非ゲームユーザー層(ライトユーザー層)を取り込んだところにあると思いますので、漫画も後者のように漫画ヘビーユーザーでなく、如何にライトユーザーによんでいただくかというのをしっかりと考えてやっていく必要があると思っています。

さてここで、もう一度漫画市場の数字を見てみましょう。

[引用]2015年、紙の漫画雑誌はますます減少して20年連続減。電子コミックスは1100億円を超える規模に爆伸し、紙と電子を合わせると雑誌の三倍近くにまで差が付いた。

分かりますでしょうか?雑誌自体の市場は減少していますが、単行本の市場はややジリ貧ですが横ばい、電子書籍は伸びています。
コアな漫画読者や電子書籍で読みたくない=紙で読みたい層がずっと一定して存在しており、新たに電子書籍で読む層の開拓が出来ていることを示しています。
電子書籍の市場牽引役はエロ・アダルト・BL・TLなどと言われているため、そこの開拓に成功しているのです。エロやBLコンテンツを書店等で買うのは恥ずかしいため、自己完結する携帯電話はそのニーズに応えたのでしょう。 ゲームで言うライトな層というか、かなりニッチな特殊な層の読者を掴んでいるんですね。

ゲームはライトユーザーをスマホで掴んでいることから、漫画ではエロ・アダルト・BL・TL 以外の王道系の漫画などはライトユーザーにあまり届いていないと考えられます。

電子書籍で漫画を売るということに対する、課題解決方法を考える。

これまでの漫画市場は、なかった市場ができているだけだと考えることができます。最近になってようやく既存の置換が起き始めている状況でもあるかと思っています。
無料漫画が増え、読む人は増えていますが、プラットフォーム乱立により読む場所はどんどん集約されていくと考えることができます。

ですが、市場規模に対して電子書籍の普及率は25%程度。まだまだ広げることに課題があると考えています。
そこには様々なトライがされていますが、電子書籍プラットフォームに訪れると、3巻無料というのをけっこうやっています。
3巻も無料です。書店に行けば1200円くらいするものがです。

それでも25%くらいの層しか電子書籍で見ていない、購入してくれていない。

課題解決方法1:全巻無料にしてはどうか?

読者は増えるかもしれませんが、広告モデル以外にビジネスモデルを作りづらく自分で自分の首を締めることになりますので却下。

課題解決方法2:漫画自体を10巻程度まで連載頑張る。

非エロ領域の漫画では巻数が長くないと売上が立ちづらく厳しい状況です。今の売り方だと3巻無料、というのが主流なため課金が成立するのが4巻からなため、10巻くらいまで積み上げられないと厳しいのです。少女マンガなどは巻数が短い物が多いので、なかなか売り方が難しいかもしれません。
そこで漫画を5巻くらいまでは投資として位置づけ10巻程度まで粘って連載するというのはありかもしれません。
キングダムや宇宙兄弟はそこを乗り越えてきた作品とも言われています。しかしながら、そこまでコンテンツ制作者側(出版社など)が粘れるかどうか。。
様々な漫画を作り投資をしている中で打ち切りはどうしても否めず、投資回収に至らず終わる作品が多くなってしまっている印象があります。
売れない漫画を無駄に連載し続けるのはなかなかしんどいです。

課題解決方法3:漫画のプレマーケティングを強化することで、ヒット打率を上げる。

100本に1本当たればいい世界だと思います。そのヘッジとして、既に人気が出ている別メディア(小説、ゲームなど)のコンテンツを漫画化することで、スマッシュヒットを出すことは既にやられていると思います。そうではなくて、漫画をネームの段階でプレマーケティングし、評価の高かった作品だけをペン入れ等する。
もっと極端にやると、企画やシナリオだけをプレマーケティングして、評価の高かった作品をネームにし、ネームで評価が高かった作品をペン入れする。
そうすることで、無駄に作る続ける予算を押さえて、ヒット確率を上げることができるかもしれません。
※ちなみにフーモアでは企画やシナリオだけのプレマーケティングでマネタイズをしつつ、漫画化するというのを既に試み始めています。

課題解決方法4:漫画の検証サイクルを7倍速にする

課題解決方法2では通常の漫画の作り方で10巻まで粘ると述べましたが、「早く安く大量」にを技術とITの力を使い乗り越える(ちなみにフーモアではそれを取り組もうとしています。内容は秘密w)ことができればワンチャンありです。
漫画は基本的には一人の作家さん中心に描くため、どんなに早くやっても週刊連載が限界(既に人間の限界を超えている)です。
それを毎日連載すると。コストの問題があるので、コストも抑えると。そして面白くすると。
トレードオフな関係にあるところをテクノロジーの力で解決していく。
※何をバカな!と思われる程度がちょうどよいなと思っています。

「早く安く大量に」が出来ると、スマホゲームで毎日遊ぶユーザーがいるように、同じ漫画コンテンツを毎日読むようにアクセスすることができ、スマホゲーム市場同様にライトユーザーの心を掴むことが出来、漫画市場を大きく牽引できると確信しています。
思えば私もFacebookなどは毎日アクセスしています。とあるスマホゲームも毎日アクセスしています。毎日見に行く動機があるからです。
漫画もそうであるべき(そうなったらいいな)です。

現状毎日無料でワンピースが読める!などの施策がありますが、それはコンテンツの焼畑になってしまう恐れがあるので、そうでない方法で毎日来てもらう方法として、解決方法を提示したいと思います。

さて次回あたりは漫画のIT化に関して、考えていることすべてを書きたいと思います。お楽しみに!

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