もうすぐ12月ですね。。凄く寒いのでコタツに入って一日中過ごしたい気分です。そう言えば、アニメーター時代の苛酷さに比べるとマンガは比較的楽なのですが、そんなことを言っている時点で自分に甘えている気がするので、ほどほどに身を引き締めたいと思います。
さて、今回は吹き出しについて読みやすさや、テクニカルなところに触れたいと思います。
「キャラクターから発せられるセリフ」です。吹き出しの楕円に三角の出っ張りがあると思いますが、基本的にはキャラクターの口元に向いています。
鳥山明「ドラゴンボール」
基本的には口以外の付近に吹き出しを配置するのは、不自然な行為となってしまいます。例えば少女漫画などに多いのですが、そもそも三角の出っ張りが無かったり、微妙なところを向いていたりすると読み辛くなることがあります。
安野 モヨコ「ハッピー・マニア」
上記のコマの右側の吹き出しは右側の女の子が喋っており、真ん中の吹き出しはおばあちゃん、左の吹き出しもおばあちゃんが話をしていると文脈から得られるのですが、やはり少し読み辛いです。左側の吹き出しは完全に右側のキャラの口元を向いているため、一瞬「えっ?」と思ってしまいます。素人さんの漫画にもよく見受けられますのでご注意を!
これどういうことかと言うと、以下の様なシーンで考えてみましょう。
Aさん「ごはん食べる?」Bさん「うん、食べる」という内容を吹き出しの位置を変えてみます。
一見すると上下とも全く同じ内容に見えますが、結構違います。
上のコマはBさんが「うん、食べる」という回答を少しゆっくりと返しているような印象を与えます。そこまでお腹が減っていなかったり、もしくは何かに取り組んでいて、後回しにしたいけど、Aさんが進めてきているから「うん食べる」と返したかもしれません。
下のコマは逆に、Aさんが「ごはん食べる?」と聞いたら、すぐにBさんが「うん食べる」と返事をしているように感じます。Bさんはお腹が空いていたんでしょうかね。
日本の漫画は右から左に読み、情報を得る順番で”間”を上手く使い慌ただしさ落ち着きなどを表現することができます。
ということですね。
なんのことやらと思うかと思いますが、これは、絵を見せながら読ませることができるためです。漫画を読む時は基本的に文字を追いながら以下のように読まれます。
鳥山明「ドラゴンボール」
この流れで文字を読んでいくと自然に絵も目に入ってくるのです。なので、紙の漫画の場合は左のページなのか右のページなのかも非常に意味が出てきます。
目線移動が基本的に右上から左下(海外だと左上から右下)なので、右左のジグザグしかなくなってきます。勿論上手く絵を見せながらやる方法はありますが、それは別途触れようと思います。また紙にあるページを捲ることでも間になるが、縦スクロールの場合はそれがないので、長いコマを用意することでそれを演出することになります。