ご無沙汰しています。前回に引き続き株式会社フーモアの芝辻さんがgloopsさんのイラブロと連携して記事を執筆してくださいました。今回はgloopsさんの実力派背景作家さんとの対談形式で背景の描き方や、どのように上手くなってきたか、参考書籍等を紹介して下さるそうですよ。芝辻さんよろしくお願いします。
芝辻さんよろしくお願いします。
こんにちは。フーモアの芝辻です。背景ってどうやったら上手くなるんでしょうか?今までソシャマノートブログではキャラクターを中心に取り上げてきましたが今回は背景を取り扱いたいと思います。いつもは描き方を手順を追って解説したりするのですが、今回は質問を投げかけさせて頂きどのように考え、感じながら描かれているかなどに触れたいと思います。
以下質問アジェンダです。
平牟禮さん、はじめまして、フーモアの芝辻です。
今日はよろしくお願い致します。
芝辻さん、はじめまして。平牟禮です。あまり参考になるかわかりませんがよろしくお願いします。
非常にベタな質問で恐縮なのですが、例えば、ラフ~、ラフ配色、中間項、完成などどのような手順で描いているのでしょうか?その際注意しているポイントがあれば是非ご教示頂ければと思います。
発注を受け、ザックリとしたイメージのすり合わせをしまして、想像を膨らませつつイメージに合う様な近しい資料を、最低でも約200枚ぐらい集めていき、より高い完成図を意識してイメージを頭の中に作り上げていきます。
え!?200枚ですか?もの凄い数ですね。。
はい。資料集めは3時間ぐらいかける時もあります。並行して、配色もイメージしています。ラフと言いますか、基本的に時間短縮を兼ねて大ラフでOKを貰えたら、次は一気に完成版を作成していっちゃいます。信頼と信用が無いとなかなか難しかったりするのですが、めんどくさがりだったりするだけだったりして(笑)
最近ソーシャルゲームの美しい背景を見る度にいつも疑問に思っています。あまりにも素晴らしい作品を見ると「この方、どれだけかかって描いたんだろう?」と驚愕することが多く。
具体的に絵ごとに説明して頂けると幸いです。
実作業的にかかった日付ごとにまとめてみますね。
こちらはグロリアスブレイズ~運命の姫と8戦士~
というタイトルの背景イラストになります。
5日間かかったのはこちらです。
おぉ!これはすごいですね。やや遠景なものだと時間がかかる感じですかね。コンセプト・アートに近い印象でしょうかね。
確かに遠景なものが多いかもしれませんね。書き込む場所もそのぶん多かったり。以下、製作期間4日間以下のものです。
4日間かかったのはこちらです。
3日間かかったのはこちらです。
こちらは作品が変わってドラゴンエクリプスというタイトルですが
2日間かかったのはこちらです。
当然ですが、クオリティ・描き込みの密度・ピクセル数等により日数は前後します。
ちなみにですが 最後の3枚は、繋げると1枚の絵になります。
ありがとうございます!非常に参考になりました。制作時間に限っては仕様や求められるクオリティに寄って異なりますね。
例えば、光源と発色の関係を意識するなど。安易に光っているから白を使わないなどなど。
イベントなどによるのですが影面の面積・配色は特に気にしています。影面の捉え方・配色の仕方次第で絵全体の雰囲気がかなり変わるからです。 暗い=黒い では無い、とかでしょうか。PCCS(日本色研配色体系:Practical Color Co-ordinate System)のトーン概念は何となくですが意識してたりもします。
キャラクターの場合でも実際ではそうでないけども絵的に成立をさせるために、実際そうは見えないけどそのように描いたりしますが、背景はどうですか?
自然物以外にも当てはまるのですが、重心は意識して描いています。
それをやって怒られたりボツになったり、逆に良かったりしたことなどありますか?
自分が考えていた事が出来そうな作品とかですとギリギリアウトかもとか思いつつも盛り込んでたりはします(笑) 取りあえず、描いてみないと解らないのでいろいろやるようにして、 良くも悪くも自分の絵柄の幅などは広がると思いますので、今回がだめだったが次は更に調整して使えるようにとか考えて描いてます。
逆にチャレンジし過ぎて怒られたりしたことってありますか?まぁお仕事ではあるので、そこまではないのかもしれませんが。
そうですね。コンテンツのイメージ等ありますので、逸脱しない範囲でチャレンジするようにしてますね。
信頼関係にも関わってきますから、注意してやってますね。
どのようにしたら上手くなるかは誰しもが知りたいですよね。描いて描いて描きまくるという人もいれば、最初は真似して描いてみるなどよく聞きますが、平牟禮さんはどう思われますか?
アナログと言うよりは、基礎能力が高くないと意味がないと思います。デッサン・配色・構成力・知識とかとても大事だと思いますし、 背景ですと、グラデーションのかけ方とかも、とても重要だと思います。
なるほどですね。ややしつこくなってしまいますが、基礎能力を高めるためには、どのようなところから始めていけばよいですかね?学校に火曜など、最初に読む本としてこれがいいなど。
取りあえず、最近ですと自分はレベルの高い作品を見る事から始めています。目・脳で覚えイメージを焼き付けて描き手に覚えさせる、といった感じのニュアンスです。学校・デッサン教室に通う、高校卒業後すぐ就職できるのであればそれでも良いとは思います。一人や友達の意見等聞いても、無難な答えが多く明確な回答は出てきづらいと思いますので、10年以上絵に拘わっているレベルの高い方に教えを乞う機会を作れれば良いと思います。10年よりは20年・30年といった感じでしょうか。そういう方たちと関わることにより、自分の知らない事柄や情報そして意識の向上等影響を受けることが多いと思いますので、上手く自分の中で必要なことを精査し取り込めれば、自ずと基礎能力も向上しますし相乗効果も生まれると思いますので良いのではないかと思います。後は、失敗出来る時にいっぱい失敗する事でしょうか。
指摘して下さる方がいると、何が良くて悪いか判断しやすいからです。自分だけですと気付き辛い事が多いので。
本ですと カラー&ライト�
堤大介さんのサイト②、は目を通しておいてそんは無いかなと思います。
②
http://www.simplestroke.com/wp/
Q-5に繋がるかもしれませんが。普段呼んでいる雑誌等でも構いません。
これらの本は良く参考にさせてもらっています。
どこかのタイミングで人からの評価が変わったり、急に描くのが早くなったりありますかね?
むしろ、1作品ごとに自分の無知さを思い知る事ばかりです。しいて言うなら、責任あるポジションを任されたときなど多少信用されるレベルにはなったのかなとか、 過去の自分を振り返り多少成長はしたのかなと思うぐらいです。
極論というか個人的主観ですが、上手くなったと思った時点で、考える事(思考停止)をやめたんだなと思うのでその時は背景師をやめる時だと思います。
主体となる建物などのオブジェクトか、左上からとか?
ザックリとですが以下、上からの順番です。
遠景から塗っていき、徐々に手前の木々などを描き込んで行きます。
室内とかですと、まずは壁・床から描いて空間をだしたのちに、その他の物を奥から描き込んでいきます。場合によっては手前から手を付けていく事も当然あります。
地面や、岩のゴツゴツ感、布や水など。。
固いものは固いとかです。後は、ブラシをカスタマイズして自分好みのを作成しています。
やはり人から認められたり、ゲーム内でリリースになった際に話題になっていたり。
その提出したものが調整されたのを、拝見したときの変り様に凹んだというかいろいろと再認識したというか、あまりの自分のしょぼさにですね・・・
と同時に、作品に参加させて頂けてる事と、経験を吸収し自分の糧に出来る事がうれしかったです。途中、キレながら(あまりの自分の不甲斐無さに)作品描いていましたが(笑)
なるほどですね~。平牟禮さんよりも上には上がいるということですね。一体どんな方々なんだろうか。。
たぶん、ここが一番気になるところだと思います。このブログですが、学生さんも多く読んでくれているようで、是非ともメッセージを頂けると幸いです!
それと同時にインプットとアウトプットもこなす感じでしょうか。 ちなみにですが現状、今の自分の環境ですと求められるクオリティが上がることに伴い一枚にかかる時間が増えていますので、年間に描ける量が圧倒的に少なくなっています。そこで、今個人的にですがspeed artをなるべく時間を作ってこなすようにしています。
大体1枚につき1.5時間ぐらいで描いています。
最後に、ここまでお付き合いして下さった方もそうでない方も背景に多少興味を持っていただけたのであれば幸いです。分かり辛い部分もあったとは思いますが、読んでいただき有難うございました!
なるほどですね~。上手くなるには近道は無さそうですね。描く枚数もある一定量保っていることが大切なんですね。
おぉ!なるほどですね~。一番の印象は「上手いと思ったらそこで作家を辞めるべき」という部分ですね。これイラスト以外にもそうかもしれませんね。お話をして頂いた平牟禮さん、素材を提供頂いたイラブロを始めgloopsのみなさんありがとうございました!またお願いします!