某漫画メディアで人気沸騰の元アニメーター漫画家が教える面白いネームの描き方

フーモアではゲームのコミカライズを中心にプロモーション用の漫画を直近の1年間で100タイトル弱制作してきました。なるべく面白い漫画をユーザーさんに提供できるようにいろいろな工夫をしてきました。

その中で最も注意を払っていたのは

「スムーズに読めること」

です。今回から複数回に分けて、面白いネームの描き方を解説して行きたいと思います。私は元アニメーターでソーシャルゲームイラストレーターを経て、現在はフーモアで漫画家をしております。会社員として漫画を描けるなんてとても嬉しいのですが、やはりプロフェッショナルとしてお客様の求める作品でありながらも読者さんにも楽しんで読んでもらえる作品を創るのはなかなか難しいところではあります。

自分で描きたい作品もあるのですが、その反面多くの人に読んでもらいたいと言う思いもあります。昔は刺さる人に刺さればいいと思っていましたが、最近は読者を想定しつつ自分のメッセージを入れ込むような作品を創っています。

この一年間プロモーション用の漫画を多数制作してきましたが、ある意味では短編マンガをたくさん創ってきました。まず読まれること。これは漫画家を目指す方々にも必ず意識して描いて欲しいと思います。

それでは僭越ながらポイントを抑えつつ解説していきたいと思います。

リズム感を意識する

1.アニメや映画を観まくってコマとコマの間の描写感覚を身に付ける

初めてのマンガを読む読者は最初の5ページで決まると言われています。(有名な漫画家先生なら別なのですが…)なのでサクサク読めないと途中で読むのを止められてしまう可能性が高く、せっかく面白い内容でも台無しになってしまいます。

漫画はコマでストーリー展開がなされます。コマとコマの間は描かれない描写が存在するのですが、そこを読者の方々に想像できるように補完できないと、読みにくくなってしまいます。

そういう意味で、アニメや映画を沢山見るのはそのスキルを身につける上でも非常に大切なことになると思います。あの鳥山明先生もめちゃめちゃ映画を観ていたと言われますし、トキワ荘に入った漫画家さんも『一流の映画を観ろ!』『一流の音楽を聴け!』『芝居を観ろ!』『本を読め!』とよく言われていたそうです。(http://www.bunkatsushin.com/varieties/article.aspx?bc=2&id=830

私は幸いメーターをしていたこともあり、漫画を描く際は頭の中でアニメをイメージしながらコマ割りを考えています。

2.最初の5ページはなるべく文字を少なくする

さて、言うのは簡単ですので、実際にネームを描いてみました。タイトルは「マッスル仮面」です(笑)。まずは一度以下の5ページのネームをご覧頂ければと思います。

ある日女の子が「クマさんの歌」を歌っていたら・・・

本物のクマに遭遇してしまい襲われそうになり・・・

そこを変な仮面の男に助けられる。

こんな内容なのですが、かなり文字を少なくして描いています。そうすることでスラスラ読める様になります。

3.インパクトのあるモノを持ってくる。

文字数を少なくできたら、今度は読者の方々を引き込むために、インパクトのあるものを持ってくると面白いです。
同じくマッスル仮面で説明すると、大きく2つあります。

女の子がいきなり本物のクマと遭遇する
襲われそうになるが、変な仮面男に助けられる

こちらの作品は見開きをイメージして描いていますので、ページがめくられる2ページ目と4ページ目にインパクトのあるものを持ってきて読者の目を引きにいっています。携帯電子書籍にはなかなか使い辛いのですが、如何にめくってもらうかを意識しており、3ページ目ではクマにまさに襲いかかられるコマとなっており、次のシーンで「女の子はどうなっちゃうの?」と思わせるようにしています。
5ページ目が終わるタイミングでは、「え!?この先どうなるの?読んでみたい」と思うかと思います。

さて次回はコマの使い方について触れたいと思います。

フーモア佐藤
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