マンガのコマ切り出しツール「ミズハノメ」を開発した背景として、以下の前提は勿論認識をしております。
所謂既存の紙の漫画は「紙全体で見た感じ」や「ページめくり」を重視して作られているため、せっかくの表現が壊れてしまうというデメリットも勿論あります。そう言った意味においては電子書籍化がなされない作品が幾つか存在するのは上記理由からというのが多いようです。なのでコマの切り出しは論外だと思われる方も多いです。
それでも尚スマホで読みたいと思うニーズは読者に於いて強いだろうということと、以下のようにいくつかポイントがあり、開発に至りました。
既知なな話ですが、日本の漫画と世界の漫画の読み方がにはちょっとした違いがあります。
このように、日本では漫画は右端のコマから順に読んでいくのが普通です。(最近はこの読み方が分からない小学生などが多いと聞いて驚いていますが、本当なんでしょうか。。)これは漫画に限らず書籍全般で日本語を読む際は右端の行から縦に読んでいく文化が定着していますね。英語圏の文化では一番上の行の左から右に読む、横文字文化が定着しています。
(画像引用: http://www.vox.com/2015/2/25/8101837/ody-c-comic-book-panels)
この違いによってただ日本の漫画を英語に翻訳しただけでは、英語圏の人たちにとって非常に読みづらいものとなってしまう現状があります。
こういった背景もあり、1ページ複数コマの見せ方ではなく、1コマ1コマ順次見せることでこの壁を取り払えないか?と考えたのが背景の一つでもあります。
スマホで漫画を読んだことのある人は多くなってきていると思います。市場も合わせて伸びており、ますますスマホ上で漫画を読む人は増えていくことが容易に想像できます。既に他のエンタメでは特にゲームはスマホゲームという形で爆発的な市場を形成しました。スマホならいつでもどこでも手軽にという利便性は今のところ強いのだろうと思います。
しかし、スマホで漫画を読むときは、画面が小さいためその性質上、スマホで読むにはズームやページ送り等、めんどうくさい要素が多々あります。そのため、今までのような紙での漫画をそのまま読もうと思うと非常に読みづらくなってしまいます。
韓国で広まったWEBTOONの縦スクロール型の見せ方はWEBの文法に合っており、かつ、スマホでは1画面1コマもしくは2コマで見せることで、スマホの小さな画面でも文字やコマ内で描かれている描写が非常に見やすい形で提供されています。
以下に面白いデータがあります。
上記は「2014年度!有名アプリのDAU、MAU、アクティブ率まとめ」
http://blogs.itmedia.co.jp/trendism/2014/11/2014daumau.html
からの抜粋したデータなのですが、2014年11月に日本のマンガアプリ「comico」「LINEマンガ」「マンガボックス」が600万DLで横並びなった際のアクティブ率等のデータを比較したものです。ビジネスモデルの違いや、直近のDL数でcomicoさんが高い数字を叩き出しておりますが、それを差し引いてもcomicoさんのアクティブ率の高さは当時目立っており、「読みやすさ」というのも起因しているのでは?と考えました。
海外での日本の漫画の読みにくさや、スマホでの漫画の読みにくさなどの問題を解決するために今回のシステム「ミヅハノメ」が開発されました。漫画のコマの自動切り取りができ、簡単に縦に並べることができます。
次回は「ミズハノメ」のUIや技術的な話に触れていきたいと思います。