バクマンと言う漫画はご存知でしょうか?
高い画力を持った真城最高と文才に長けた秀才である高木秋人の少年コンビが漫画家を目指していく道のりとその活動を描く漫画です。
この漫画の単行本第14~15巻にかけて現れる七峰と言う漫画家の漫画の描き方は、ソーシャルメディア時代の漫画の描き方を示唆しているように思います。
バクマンでの漫画の描き方は、ソーシャルメディア上でユーザーとストーリー展開のディスカッションをしながら漫画を描くという、描き方をしています。
漫画内では、上記イラストの七峰というキャラがそのような描き方をしていますが、悪役のように描かれており、ソーシャルメディア上での多く出る意見を聞き過ぎるが故に作者の味が出ず、話にも一貫性がなくなってしまいます。連載する漫画雑誌内での順位が下がっていき、漫画家が形成しているコミュニティから「何故俺のアイディアを使わなかった?だから順位が下がったんじゃないか?」などと、コミュニティが崩壊していく様子が描かれています。
インターネットが流行り始めた頃、上記に近しい事例は日本国内でも既に起きています。例えば、「ドラえもんの最終回」だ。(※非常に感動するので是非読んで欲しい)
ドラえもんの最終回は1990年頃携帯のチェーンメールで出回り始めたが、実に様々な最終回がドラえもんのファンによって考案されています。
「のび太植物人間説」「ドラえもんの開発者はのび太説」…など。
生活者が勝手にドラえもんの最終回を妄想して、
「あ!それいいね!!でもこうするともっと面白いよ!!」
「おぉ!!ホントだ!友達にメールで送ろう!」
なんてやり取りがリアルでなされ、それがどんどん広まっていき、最終回の内容がブラッシュアップされていったのではないかと思う。ブラッシュアップされた内容を漫画描きが描いてWEBにアップし、爆発的に広がりました。
WEBやブログ等が流行り始めると、誰でも簡単に漫画を発表できる手段として、アマチュア作家を中心にネット上で多くの作品が公開されるようになりました。
「今日の猫村さん」や「ぼく、オタリーマン」などはネット上で人気を集め、実際に出版にまで至っています。
ソーシャルメディアによりブログ等よりも、より気軽にユーザーがネット上で会話や情報発信をし始めました。
先に挙げたバクマン内ではやや広義のソーシャルメディアである掲示板のようなところで、ユーザーとコミュニケーションを取りながらストーリーをみんなで作り込んでいます。しかしながら、TwitterやFacebookのようなソーシャルグラフを保有しているソーシャルメディアを活用することで、漫画という作品をより作り込むことが出来るかもしれないと考えています。
特に自分で描きたい内容も無く、漫画家が漫画のネタに困っているとする。そういう時は、ソーシャルメディアを傾聴してみると、世の中の生活者の興味関心のあること、今流行りの言葉など、何らかしらのインサイトが得られるはずだ。
Googleのリアルタイム検索が消えてしまったが、Yahoo!でリアルタイム検索ができるようになっているので、そこで検索をするとあるワードに対してどんな内容で会話されているかを見ることができる。
ここはバクマン内でもやられている通りである。利害関係が無い場合は、有名な漫画家でない限り多くの生活者からフィードバックが得られないので、以下の3つの方法を使うと良いかもしれない。
1.自身のソーシャルグラフ上の友人からフィードバックをもらう(ソーシャルグラフを活用する)
2.pixivやcomicoやその他サービスなどにある漫画コミュニティからもらう(インタレストグラフを活用する)
3.MROC的な手法で、質の高い生活者と利害関係を構築しフィードバックを得る
※3のMROCとはMarketing Research Online Communityの略で、最近マーケティング・リサーチで使われるようになった手法で、クローズなリサーチ専用のコミュニティを形成して生活者のインサイトを得ると言うもの。
※3は今のところクラウドファンディングなどなら実行できそうです。
読んでもらう際もソーシャルメディアを活用し、通常の企業が行っているようなプロモーションを行う。
「読んでくれた人の中から抽選で似顔絵プレゼント!」「次回以降あなたの名前をキャラクターを登場させます。」のように漫画家らしいキャンペーンなどを打つと面白いかもしれないですね。
読んでもらった感想等をさらに傾聴し、次話以降の漫画のフィードバックとする。と言うこの流れをグルグルと回しながら漫画という作品を作成していく。
最近ですと、マグネットというサービスがあり、TwitterやFacebookなどと上手く連携することでこれと親しいことが実現できそうです。
お気付きかもしれないが、この流れは会社が製品やサービスを作る際に行われるバリューチェーンと全く同じです。実際のところこの流れが上手く回るのかどうか事例がない(もしくは見つけられていない)ため、賛否両論あるかもしれないが、今世の中で言われているようなソーシャルメディアマーケティングも十分漫画に応用できるはずだと私は思います。
それでは次回をお楽しみに。
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